2016年3月16日水曜日

障害者差別解消法が始まる前に。

今回は4月にスタートする「障害者差別解消法」について記事を書いてみました。
 
4月1日からこの法律が実施されるということで「不当な差別的取扱いの禁止」、「合理的配慮」という言葉を見聞きするようになったと思います。
 
 この「障害者差別解消法」では、障害のある人への「不当な差別的取り扱い」と「合理的配慮をしないこと」を障害のある人への差別としています。

「合理的配慮」というのは、障害のある人が障害が理由で困っている時に、その人がわかりやすい方法や工夫で配慮をして、その人の困ってる事を解消しましょうということです。
配慮は「助け」という意味に近いと思います。

「不当な差別的取扱いの禁止」の法的義務があるのは、国や地方公共団体等、事業者とされています。
「合理的配慮」については、国や地方公共団体等には法的義務、事業者は努力義務があるとされています。
そこで法律が始まれば、どのような配慮が必要になるのか、どのようなことが想定されるのかということで話題となっています。

 「不当な差別的取扱い」をしたとか、「合理的配慮」に欠けているとかだけでなく、「障害者差別解消法」が成立したことで、障害のある人も同じ一人の人であり、障害があってもなくても誰もが住みやすい社会になってほしいと思っています。建物や制度バリアフリーだけではなく、皆さんの心のバリアフリーが進んでくれる機会になってくれればいいなって願っています。

「障害者差別解消法」は、障害のある人が社会で生きて行く上でその人が抱える障害ゆえに難しい事を社会の問題としてとらえて解消し、障害のある人がない人と同じように同じ社会で当たり前に過ごせるようにしましょうという法律なんです。
障害のある人への合理的配慮は、障害のない人にとっても利益のある配慮であるとも思います。
 
 さて、3月8日に行なわれた厚生労働省障害保健福祉関係の主管課長会議資料に、
「不当な差別的取扱い」・「合理的配慮」の具体例が記載されていましたので、具体例として参考になりそうな資料を一部抜粋しましたので参考にしてみてください。
少しですが飲食店、銀行、学校、交通などに分けて書かれてあります。

また、内閣府からは「合理的配慮サーチ」(合理的配慮等具体的データ集)というものが紹介されていましたので、こちらも参考にしてください。

それから、今回この会議資料には、「障害者差別解消法福祉事業者向けガイドライン」もありましたので、こちらもPDFファイルを見れるようにしてみました。

ちなみに、「障害者差別解消法 福祉事業者向けガイドライン」の対象となる福祉事業者として、生活保護、児童福祉、母子福祉、障害児福祉、老人福祉、障害福祉、福祉サービス利用援助事業関係など、とされています。

 ここで、障害への支援や配慮について、欧米でよく用いられる以下の図を見てみましょう。
 

身長の異なる3人が同じ柵の前に立っています。
ひとりは背が高いので柵の向こう側が見えています。
真ん中の人は少しだけ見えています。
背が低い人は柵の向こうが全く見えていません。

同じ柵の前に立っているのに、身体的な違いによって不平等が生まれています。この3人に同じように柵の向こうの景色を見せるためには、以下の様な工夫が必要です。




背の高い人はそのままに。
真ん中の人には少しだけ台を渡します。
背の低い人には高めの台を渡します。

それぞれの体の状況に合わせた工夫をすることで、3人そろって柵の向こうの景色をみることができました。このような工夫は「支援」や「配慮」と言い換えることもできます。そして、障害者差別解消法では「合理的配慮」といいます。

2016放課後等デイサービスSTEP から引用(http://houkago-step.com/information/1216/


さて、「障害者差別解消法」ができる前、
平成18年12月に国連で「障害者の権利に関する条約」が作られました。
障害のある人のために新しい権利を作ったのではなく、障害のある人が社会の一員として尊厳をもって生活することを目的にしています。そして、条約の原則の一つが、障害に基づく差別をなくすことです。
これまで「障害」というのは、目が見えない、歩けないなど、その人が持っている性質だけから生じると、多くの場合考えられてきました。しかしそれだけではなく、そうした個人の性質のために、働けなかったり、さまざまな活動に参加できなかったりするような社会のしくみ(人々の偏見、建物や制度など)にも問題があり、そのような社会とのかかわりから「障害」が生じると考えられています。
※日本障害フォーラム(JDF)「障害者差別解消法ってなに?」パンフレットから引用

この条約は、障害というのは時代や環境によって変化していくものとしています。例えば、椅子の人もバリアフリーの環境であれば障害が障害とならずに生活できるでしょう。そして、障害のある人とは、手帳をもっている人だけではなく、社会的障壁(社会のしくみや人)により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にある人ととされています。

高齢となった人も社会的障壁を感じるのではないでしょうか。社会と人とのかかわりから「障害」があると感じることなので、グループかけができるものではないと考えられています。
 
日本は平成26年1月に世界で140番目(EUを含めると141番目)の批准国となりました。
批准とは、国同士の約束ごとである条約に入り、守るための手続きのことです。
この条約を批准することによって、条約は憲法と法との間に位置づけられることとなり、「その条約・決まりごとをうちの国も取り入れて守ります。」となったのです。
そして、「障害者の権利に関する条約」の批准のためには、障害のある人の差別を禁止する法律も必要でした。
 
憲法と法と聞くと、障害のある人を優遇や特別扱いするのか、法律を守らなかったらペナルティがあるというようなイメージを抱える方もいらっしゃるかと思います。

でもこれは、条約にもあるよう障害を理由にした差別をなくして、障害のある人もない人も共に生きる社会を作ることを目指し、憲法等で保障されている権利を、障害のある人にも同じように保障するための法律なんです。

 







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